
国際自然保護連合が2020年7月9日に最新のIUCNレッドリストを公表しましたが、秋の味覚である松茸(まつたけ)が今回絶滅危惧種として指定されました。秋になると高級食材として扱われ毎年話題にあがる松茸ですが、今後私たちの食卓にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
目次
絶滅危惧種を指定している国際事前保護連合(IUCN)とは?
国際自然保護連合(IUCN)は、1948年に国家、政府機関、非政府機関で構成された世界最大の自然保護ネットワークです。
IUCNは、International Union for Conservation of Natureのになります。
日本では環境省や地方公共団体などが協力しています。
約1,200の組織(200を超える政府・機関、900を超える非政府機関)が会員となり、世界160カ国から約11,000人の科学者・専門家が、6つの専門家委員会に所属し、生物多様性保全のための協力関係を築いています。また本部はスイスのグランにありますが、会員・専門家のネットワークを支え、フィールドでのプロジェクトを実施する、約1,000人の事務局スタッフが45カ国にいます。日本には、2015年9月現在、大正大学内に「IUCN日本リエゾンオフィス」が設けられています。
引用:IUCN日本委員会HPより(2020/7/13)
レッドリストとは?
絶滅の恐れのある野生生物を国際自然保護連合(IUCN)がまとめたリストです。
レッドリストに登録されている絶滅種は、16世紀以降に絶滅が確認されているもののみです。
※恐竜のような古代の生物は含まれていません。
日本の在来種は90000種超え(日々増えています)といわれていますが、その内、3772種が絶滅危惧種としてレッドリストに指定されているそうです。
松茸はどうやって生産されてる?
松茸はカビなどと同じ菌類になります。
通常、松茸は樹齢50年以上のアカマツに生えるといわれています。
松茸は菌類のなかでも菌根菌という種類で、生きた植物の根から直接エネルギー源の糖分をもらって育ちます。
他の植物と共存しなければ育つことができないのです。そのアカマツも人が踏み込まなくなり管理されなくなったため、枯れ葉がたまり栄養分が豊富になったアカマツの周りにはカビや他のキノコが生えます。そうすると松茸の菌は弱いため、生存競争に負けてしまうのです。松茸は落ち葉が少ない環境を好みます。人の手で環境を管理することが必要なのです。アカマツ自体も害虫により枯れてしまい、ますます松茸の生産量が減っているのです。
近年、松茸の人工栽培を研究している企業も多くあります。
ただ生態について不明な部分が多いことと、生きたアカマツの根が繁殖に必要なため難しいとされています。
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絶滅危惧種に指定されると、どうなる?
今回指定されたのは準絶滅危惧という「現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種」になります。まだ人の手で守っていくことができる段階です。現時点で採取や国際取引に制限がかかるわけではないので、通年通り手に入れることはできるでしょう。因みに松茸に非常に似ているマツタケモドキも同じく準絶滅危惧種に指定されています。
これからの日本の食文化
農林水産省によると松茸の国内での生産量は1941年がピークで12000トンもありました。その後、2018年に18トンにまで激減してしまいました。それには後継者問題や、山の開拓、逆に放置をしたためになります。国内産の松茸は全体の5%しか流通しておらず、中国や韓国からの輸入にも頼っているため、まだ手に入る食材ではありますが、その中国や韓国でも生産量は減っています。他にもマグロやウナギ等が絶滅危惧種として指定されていますが、この先、人工的に生産が出来なければ日本人が大好きな食材が日本の食卓から消える日は、そう遠くないのかもしれません。
レッドリストを手に入れるには?
個人でも環境省が出しているレッドリストを手に入れることが出来ます。他の絶滅危惧種を知りたいという方は、是非申し込んでみてください。
環境省のホームページから入手
http://www.env.go.jp/press/107905.html
環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室で入手
直接配布しているので、事前に連絡をして受け取りに行きましょう。
郵送で申し込む
返送用封筒(A4版、切手390円分を貼り宛先を記入)を同封すれば郵送での手続きも承っています。
【郵送先】
〒100-8975
東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館26階
環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室